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春の陽射しが暖かくなると庭や公園に足が向きます。
芝生の上や若草の上で体を休めると室内には無い幸福感に包まれます。 私一人の思いでしょうか? ![]() そんな知覚を与えてくれるのは、体重の16%(身体で最大の臓器)を占める皮膚にある感覚器官です。 皮膚感覚は単に感じるだけの器官ではなく、知的器官であるとも言われています。 この触覚を育むことの大切さを、教育的に実践したのがドイツの哲学・教育学者シュタイナー(1861~1925)です。 子供の「3つのHをそだてる」(Haupt 頭、Herz 心、Hand 手)ことによって自己の内面にある欲求を引き出し、それを実践する学校を設立し人間を育てる教育方針としました。 近代教育学の祖ともいわれる彼にして、触覚刺激が豊かな感受性と自立した心を育てる、大切なヒトにそなわった器官であることを見抜いた慧眼には敬服します。 それにしても試験の点数を第一に考え「塾」に熱心な教育パパやママは再考の必要がありそうです。 -触覚の重要性を知らず、触覚プランニングを組み立てられないガーデンデザイナーは偽者です- 最近のガーデンデザイナーと自称する人の作品を見ると、視覚重視のプランで触覚が忘れられている作品が多いのに驚きます。 これではヒトを包み「命を育む」環境プランにならないのです。 触覚はもっとも身近な感覚器官として、触れたものの「特性」や「自分の意思による触れ方で知覚内容が変わってくる」いわば「自分を知る感覚器」→「自分を楽しませる感覚器」なのです。 この認識を持ち、庭の床、壁などのテクスチャー(質感)を検討して始めてヒトを包むことが出来ます。 何の気無しに物に触れる私たちの手には、4つの優れた識別感覚機能があるといわれています。 ①微細刺激の検出・・・・(例)ノミが皮膚をはっていることを感知する。 ②表面の微細な違いを識別する・・・・テクスチャー(質感)の違いを識別する。視覚より優れている。 ③異なる刺激を識別する・・・・その刺激間隔は1~2mm隔れていても区分できる程度といわれている。 ④触れたものの形状を知覚する・・・・とくに三次元形状認識に優れている。 これらの手のひらや、足の裏に潜む、ヒトの感覚器の活性化と刺激はヒトに言葉では言い表せない"心地よさ"を与えます。 -触覚は心に一番近い感覚器- ヒトの5感覚器を司る脳の部位でも触覚系は原始感覚に入ります。 主にヒトの生存にかかわる痛み、温感、生殖、快・不快の情動など、「視覚」や「聴覚」が外界の物理的形状や特性を知覚することが主なのに比べ、触覚は触れることで「新たな情熱を創り出す」創造的器官です。ヒトがヒトであることを司っている感覚器ともいえます。 -ペットや子供は「気持よさ」を理解する天才- ヒトは自分が大人になると子供時代のことは忘れてしまうようです?(退化) 大人の感覚器は様々な刺激のなかで、自分に最適な選択が何であるのか、判断が出来ずらくなるようです。 それに比べ、ペットや子供は自分に最適な場所を選択し、自分が楽しめることををします。 犬も太陽の動きや風向き合わせ居場所を変えることや、泥・砂・水遊びなど、ヒトが進化の途上で出会った素材には、ヒトはDNAに太古からの記憶が残り、子供は癒されて楽しそうに遊ぶことができます。 ![]() コンクリート、プラスチック、金属などの工業製品には残念ながらヒトの心を創る力がまだ宿ってないようです。 安全で健康な庭とはヒトや子供が裸足で駆け廻り、体全体で楽しめる庭です。 それには庭土が安全なのか?調査することもあります。 そこで育てた果樹、野菜が安全かも重要です。 私たちの提案する「ペット&キッガーデン」はそんなヒトの体と心を育む庭です。 上野博昭 ヒトは、誕生までの母親の胎内で過ごす10ヶ月間で、人類の進化の過程をたどるといわれています。
ヒトは、地上に原始細胞が誕生して16億年の記憶を常に自分の遺伝子に残し、今日を生きていることになります。そのDNAに刻まれた原始の記憶とは、胎内の羊水に漂った浮遊感や、風・雨・波の音かもしれません。 これらの全ての自然界が発する音には雑音はなく、ヒトの心を安らげ、癒しを与えてくれます。 ヒトの脳には、雑音の中から自分の「好きな音」や「聞きたい音」を選別し、聞く機能があることが分かってきました。ヒトはどこにあっても、音環境の最適な現状を求めているようです。 また、これらの音を聞くことで、脳からα波という脳波が出てリラックス効果が高まることも知られています。 ![]() 日本人の耳と英国人の耳 私たちが学校で習う西洋音楽の源は、ピタゴラス(数学者でピタゴラスの定義などで有名)が街を散歩中に聞いた鍛冶屋のハンマー音が最も美しく聞こえる比例の関係を発見したことによると言われています。 これは、ヨーロッパ文化の美の法則(黄金比)として、建築・絵画・彫刻・音楽など、あらゆる文化のモデュールとして利用されてきました。 ヨーロッパの都市には、必ずといっていいほど音楽ホールがあります。周囲を壁で囲い、周囲の音が混じらない密閉空間です。ここで、人工的に奏でられるのが最も美しい音楽となるわけです。 英語を母国語とするヒトと、日本語を母国語とするヒトの「音と脳の活動分野」を調べた実験では、日本人は虫の鳴き声などを左脳(計算・言語を司る部分)で理解し、外国人は右脳(音楽・美術などを司る部分)で理解していることが分かりました。 日本人は虫の声を音と聞かず、外国人は不揃いのノイズとして聞いているようです。 私が英国人の著名なガーデンデザイナーと一緒に仕事をした時、虫の声を庭の演出とすることを主張したのに、彼はノイズとして認めなかったことを思い出します。 日本人の発見になる自然界に潜む、1/fのリズムこそ癒しの秘訣 日本人のための環境デザインは、日本人の手でやることが最も良い方法と思います。 では、日本人が最も安らげるリズムはどこにあるのでしょう。 それは、自然界の中にありました。 「1/fのゆらぎ」は、電流を流すと抵抗価が一定でなく、不安定にゆらいでいることが70年ほど前に発見されたことからと言われています。 このゆらぎは、ヒトの心拍の間隔、ロウソクの炎、そよ風など、自然界に多く存在することが分かってきました。 それは音でいえば、メトロノームの正確な音とノイズの「ザー」という音の中間くらいに位置し、不規則と規則が調和している状態です。 街路樹が等間隔で植えられている姿は整然としていますが、人の心を安らかに癒してくれません。むしろ、間隔に「1/fのゆらぎ」の間隔幅を加えることで、人間的な温かみを感じます。 日本庭園がヨーロッパの左右対称のデザインを避け、常に不規則を造ってきたのは、この「1/fのゆらぎ」の実現を目指していたのかもしれません。
~類人猿からつづく色覚細胞~
地球が猿の惑星だった2200万年から5500万年前に、世界には100種類もの類人猿がいたといわれています。 現代のヒトの祖先となる類人猿は、森の中に住み、夜行性であったようです。 そこでまず、緑を知覚する眼を得、次に樹上生活に便利な緑と空を区別する青の色覚を得ました。更に、赤く熟した木の実を見つける赤の色覚を得ました。 進化のなかで得た長波光(赤)、中波光(緑)、短波光(青)は「光の3原色」として、私たちの眼の細胞を構成しています。 この3つの色が交わると、太陽光のように白色光(無色の光)として見えます。この3つの色で、今、私たちの眼で見る環境色は構成されています。 ~色で癒される~ 色は、それぞれヒトの感情を刺激する特性を持っています。 例えば、赤はヒトを興奮させ、青は沈静させます。ですから青色が主調色の花々で飾られた庭に佇むと、ヒトは心を落ち着けることができます。 また、自然界にある色の配列にヒトは自然さを感じます。その逆の色配列に違和感を感じます。 自然の色の配列を『ナチュラル ハーモニー』といいます。それは、色の色環として整理されていますから、それを参考にすると便利です。 ***【ナチュラル ハーモニー】******* 自然光のもとで庭を見ると、一定の法則があることに気がつきます。 樹々の葉などに光が当っている部分は、明る黄みの緑色に見え、陰では暗く青みの緑に見えます。このような、自然界の見え方(黄に近い色は明るく、遠い色は暗く青みをおびる)を、色彩調和の原理にそった配色といいます。 この順序を逆にした明度(明るさ、暗さ)にすると、不調和な感じがし、この配色を『コンプレックス ハーモニー』といいます。 ![]() ↑色相環 ************************************ ヒトを包む色の環境づくりは、ヒトの進化の歴史が刻まれたDNAに問いかけることなのでしょうか。
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